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「今は私と話す時間だろ?私だけ見て?」
三津の顎先に手を添えて自分へと振り向かせた。
「……私らも邪魔みたいやわ。お菓子だけもらって退散しよか。」
『文さんよっぽどお菓子食べたいんやな……。』植髮和織髮有何分別?一文了解哪種方式更適合你! -
そんなにいいお菓子ならどんな物かかなり気になる。三津は文が奪い取った包みを見つめた。
「ここでみんなで食べたらいい。君達と無邪気に話す三津を見られるなら構わない。」
穏やかに余裕を持ってそう言ったことを桂はこの後酷く後悔する事となる。文と幾松が揃ったところで無事で済むはずがない。
文と幾松の前で正座をさせられくどくど小言を言われ続けた。
女四人を侍らせて羨ましいとその眼差しを向けていた山縣だったが,どう見ても精神的苦痛を与えられる桂の姿に自分は嫌われてて良かったと思いながら遠巻きに眺めた。
桂は足が痺れる前に隙をついて逃げ出した。その晩三津に晩酌に誘われた高杉が縁側に回るとすでに赤禰が三津を横に置いて酒を呑んでいた。
「三津さん話ってなんや。」
単刀直入な高杉を座らせてまぁまぁまず呑みましょうよと酒を勧めた。
「今日三津さんと宮城さんとこ行ってきたほ。それでな高杉に伝言預かったんや。」
「誰から?」
「宮城さん。」
「ぶっ!」
高杉は口に含んだ酒を思わず吹き出した。そんな訳あるかと手の甲で口元を拭った。
「毎月しんみりと謝りに来るぐらいなら面白い話と酒を持ってこいやって。」
高杉は片膝を立ててもう一口酒を含んだ。あそこに行ってるのは誰にも言ってない。謝りに行ってるなんて誰も知らない。
なのに何故知っている?当てずっぽうか?かまでも掛けてるのか?高杉は色んな推測をひねり出そうと黙り込んだ。
「宮城さん俺らの事恨んどらんって。自分より若い,才あるお前が逝かんで良かったって。長州引っ張る力があるんやけぇしっかりやれやって言われた。」
俄には信じ難いと言う顔で高杉は赤禰の言葉を聞きながら少しずつ酒を呑んだ。
非現実的な話だが真面目が取り柄の赤禰がわざわざそんな作り話するだろうかとも思う。
「三津さんの入れ知恵か。」
「そんな事しませんよ。武人さんが宮城さんと向き合って預かった伝言です。その時私は武人さんの背中にもたれてうとうとしてました。」
「寝よったんかい。」
呆れた顔をする赤禰に三津はヘヘっと笑った。
「武人さんの背中が温かくて気持ち良かったんでつい。」
「あんま男の側で無防備に寝ちゃいけん。」
「武人さんの側もアカンのですか?」
いつもお酒呑んでそのまま寝ちゃうの駄目ですかと言われ返答に困った。
「それ以前に墓の前で寝るなや。流石三津さんやけども。宮城さんそこは何も言わんかったんか?」
高杉もそれには呆れて喉を鳴らして笑った。
「女を待たせるもんやないからもう行けとは言われた。」
それは退屈してると思われたのかもしれない。悪い事しましたねと三津は苦笑しながら赤禰に酒を注いだ。
「それぐらいで機嫌損ねるような宮城さんやないっちゃ。それにこんな俺でも恨んどらんって言うんやけぇ大丈夫や。
次行く時に三津さんの話聞かせちゃり。向こうで腹抱えて笑うかもしれん。」
そこで高杉は思いついた。
「宮城さん偲んで三津さんも一杯だけ。」
献盃をとお猪口に酒を注いで三津に突き出した。故人を偲べと言われたら断れない。三津は受け取ったお酒を少しずつ喉へ通した。三津がご馳走様とお猪口の縁を指で拭うのを眺めてから高杉は問いかけた。
「何で俺がお参りに行っとるの気付いたん?」
「んー勘?武人さんに連れられて歩いてる時に思い出してたんです。私自身が新ちゃんに謝る為にお墓に通ってたのを。」
「三津さんは何を謝りに行っとったん?」